Microsoft 365 と Google Workspace の比較

企業特性に基づく選択ガイド

Microsoft 365

非IT企業に人気

高機能デスクトップアプリ

高度なセキュリティ

Google Workspace

IT企業・スタートアップに人気

リアルタイム共同編集

クラウドネイティブ設計

あなたの企業に最適な選択は?

2025年7月27日

はじめに

現代のビジネス環境とクラウドグループウェア

現代のビジネス環境において、生産性の向上円滑なコミュニケーション柔軟な働き方の実現は企業の競争力維持に不可欠です。この課題を解決する中核的なツールとして、クラウドベースのグループウェアが広く導入されています。

Microsoft 365

  • WordやExcelといったOfficeアプリケーションを中核とした包括的プラットフォーム

  • Teamsによるコミュニケーション機能を統合

  • 高度なセキュリティと既存業務フローとの親和性

Google Workspace

  • クラウドネイティブな思想のもと、ブラウザ上で完結する直感的な操作性

  • リアルタイムでの共同編集機能に強み

  • スピード感が重視されるIT企業やスタートアップを中心に支持

両者は一見すると類似した機能を提供していますが、その設計思想や得意とする領域、最適な利用シーンは異なります。自社の企業文化やITリテラシー、既存システムとの連携、将来の事業戦略を踏まえた選択が重要です。

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機能比較:オフィスアプリケーション

両スイートの中核をなすオフィスアプリケーションは、文書作成、表計算、プレゼンテーション作成など日常業務に不可欠なツールです。それぞれ異なるアプローチと強みを持っています。

Microsoft 365

主要アプリケーション

Word
Excel
PowerPoint
OneNote
Outlook
Access (PC)

特徴

デスクトップ版が中心: 高機能で複雑な編集作業に対応。オフラインでも全機能を利用可能。

強み

  • オフラインでの安定した作業

  • マクロや高度な書式設定など、専門的で複雑な機能が豊富

  • 従来のOfficeファイルとの完全な互換性

弱み

  • 共同編集はWeb版が中心となり、デスクトップ版でのリアルタイム共同編集はGoogleに比べてやや煩雑

Google Workspace

主要アプリケーション

ドキュメント
スプレッドシート
スライド
Keep
Gmail

特徴

Webブラウザ版が中心: クラウドネイティブで、どのデバイスからでもアクセス可能。リアルタイムでの共同編集機能が非常にスムーズ。

強み

  • 複数人での同時編集、コメント、チャットがシームレス

  • 変更履歴が自動で保存され、バージョン管理が容易

  • シンプルで直感的な操作性

弱み

  • オフライン機能は事前設定が必要

  • マクロや特殊なフォントなど、高度な機能や専門的な書式設定には対応しきれない場合がある

Microsoft 365は、会計、法務、デザインなど、特定の書式や高度な機能を必要とする業務において強力です。一方、Google Workspaceは、企画書や議事録の作成など、チームでのブレインストーミングやスピーディな情報共有が求められる場面で真価を発揮します。

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機能比較:クラウドサービス

ファイルの保存、共有、管理を行うクラウドストレージは、現代のワークスタイルに不可欠な機能です。両サービスは、大容量のストレージを提供しつつも、その管理思想や連携機能に違いがあります。

ストレージ容量

ファイル管理

既存システムとの連携

Microsoft 365

OneDrive & SharePoint
  • 多くのビジネスプランでユーザー1人あたり1TBのOneDriveストレージを提供
  • 個人用とチーム用の2種類のストレージを使い分け
  • ユーザーごとに独立したストレージを割り当て
  • OneDrive: 個人のファイルを保存・同期するのに適している
  • SharePoint: チームや部門全体でファイルを一元管理
  • ポータルサイトを構築するなど、組織的な情報共有基盤として機能
  • フォルダ階層による伝統的な管理方式
  • Windows OSとの親和性が非常に高い
  • エクスプローラーから直接クラウド上のファイルにアクセス可能
  • オンプレミスのActive Directoryと連携
  • 既存のIT資産を活かしたユーザー管理やアクセスコントロールが可能

Google Workspace

Google Drive
  • プランに応じて共有プール型のストレージを提供
  • Business Starterで30GB/ユーザー
  • Business Standardで2TB/ユーザー
  • Business Plusで5TB/ユーザー
  • 組織全体でストレージ容量を柔軟に利用可能
  • すべてのファイルがGoogle Drive上で一元管理
  • 直感的なインターフェースで操作可能
  • Googleの強力な検索技術が組み込まれている
  • 必要なファイルを迅速に見つけ出すことが可能
  • クラウドネイティブな設計思想
  • 様々なサードパーティ製アプリケーションとの連携が容易
  • APIを通じた外部サービスとの柔軟な統合
  • 既存のオンプレミス環境との連携には追加設定が必要な場合も

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機能比較:コラボレーション機能

リモートワークやハイブリッドワークの普及に伴い、コミュニケーションと共同作業を円滑にするコラボレーション機能の重要性が増しています。両サービスのアプローチを比較します。

Microsoft Teams

統合プラットフォーム

チャット、ビデオ会議、ファイル共有、タスク管理など、業務に必要なツールがTeams内で完結します。「仕事のハブ」として設計されています。

Officeアプリとの深い連携

Teams上でWordやExcelのファイルを直接開き、複数人で同時に編集することが可能です。

拡張性

豊富なサードパーティ製アプリと連携でき、業務プロセスに合わせて機能を拡張できます。

適している企業: 多機能で包括的なコラボレーション環境を求める大企業

Google Meet & Chat

シンプルさと軽快さ

それぞれのツールがシンプルに設計されており、直感的で軽快に動作します。Webブラウザからすぐに利用開始できる手軽さが魅力です。

リアルタイム連携

Googleドキュメントやスプレッドシートでの作業中に、そのままMeetでのビデオ会議を開始するなど、各ツール間の連携がスムーズです。

共同編集との親和性

リアルタイム共同編集機能に強みを持つGoogleの各種アプリケーションとシームレスに連携し、スピーディな共同作業を支援します。

適している企業: シンプルさとスピード感を重視するスタートアップや中小企業

どちらを選ぶかは、企業のコミュニケーションスタイル業務プロセスによって異なります。多機能な統合環境を求めるならTeams、シンプルさと軽快さを重視するならGoogle Meet & Chatが適しています。

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価格とプラン

Microsoft 365

Business Basic

$6 / ユーザー / 月

  • Web・モバイル版Officeアプリ
  • 1TB / ユーザー
  • Teams、Exchange、他

Business Standard

$12.50 / ユーザー / 月

  • Basicの全機能
  • デスクトップ版Officeアプリ
  • 1TB / ユーザー

Business Premium

$22 / ユーザー / 月

  • Standardの全機能
  • 高度なセキュリティ機能
  • Intune、情報保護

Google Workspace

Business Starter

$6 / ユーザー / 月

  • Gmail、ドライブ、Meet、他
  • 30GB / ユーザー(プール)
  • ビデオ会議(基本)

Business Standard

$12 / ユーザー / 月

  • Starterの全機能
  • 2TB / ユーザー(プール)
  • 会議録画、予約スケジュール

Business Plus

$18 / ユーザー / 月

  • Standardの全機能
  • 5TB / ユーザー(プール)
  • eDiscovery、高度なセキュリティ

Microsoft 365のコストパフォーマンス

  • デスクトップアプリを重視する企業に優位:使い慣れたOfficeアプリ + クラウド機能
  • Premium版は高度なセキュリティ機能が統合され、個別導入より割安に
  • 既存のMicrosoft環境との親和性が高く、移行コストを抑えられる

Google Workspaceのコストパフォーマンス

  • ストレージ重視の場合に優位:Standard以上で2TB以上の大容量ストレージ
  • リアルタイム共同編集が多いスタートアップやIT企業、クリエイティブ系に最適
  • プール型ストレージで組織全体での容量配分を柔軟に調整可能

※ 上記の価格は2024年時点の米国における標準的な価格(年間契約)です。契約地域やプロモーションによって変動する可能性があります。

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IT企業の利用傾向

IT企業・スタートアップがGoogle Workspaceを選ぶ理由

変化の速い市場環境に対応するため、IT企業やスタートアップではGoogle Workspaceが好まれる傾向にあります。

クラウドネイティブな設計

  • ブラウザベースで直感的に操作可能

  • 場所を選ばない働き方を実現

  • リアルタイム共同編集でアジャイルな開発をサポート

  • スピーディなコミュニケーション文化に合致

柔軟なツール連携

  • 特定のベンダーに縛られない自由度

  • API連携による他のSaaSとの組み合わせ

  • Slack、Zoom、Notionなど他ツールとの統合

  • 自社に最適な業務環境を柔軟に構築可能

高いITリテラシーとの親和性

  • 新しいツールへの適応力が高い従業員層

  • クラウド機能を最大限に活用できる技術力

  • イノベーションを重視する企業文化との調和

  • モバイルファーストの考え方に適合

一部のIT企業では、「ベスト・オブ・ブリード」のアプローチを取り、「Googleのビジネスアカウント + Zoom + Slack + Notion」といった構成を選択し、最適なツールを組み合わせることもあります。

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非IT企業の利用傾向

Microsoft 365を選ぶ非IT企業

非IT企業、特に歴史のある大企業や官公庁では、Microsoft 365が依然として強い支持を得ています。これらの企業が選択する主な理由は、以下の3つの要素に集約されます。

Officeアプリへの慣れ

  • 長年慣れ親しんだWord、Excel、PowerPointの存在

  • 従業員の学習コストを低く抑えられる

  • 既存の業務フローを維持しやすい

既存システムとの親和性

  • Windows ServerやActive Directoryとの連携

  • 既存のIT資産を活かしたID管理

  • 基幹システムとの統合性の高さ

高度なセキュリティと管理

  • 詳細なセキュリティポリシー設定

  • コンプライアンス対応機能の充実

  • 大規模組織向けの管理機能

主な導入業界と事例

金融・保険

りそな銀行、紀陽銀行など

製造業

サプライチェーン管理との連携

官公庁・自治体

厳格なセキュリティ要件に対応

「多くの非IT企業では、Officeアプリケーションの存在が最大の理由です。従業員の学習コストを低く抑え、スムーズな導入が可能です。」

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業界別の選択傾向

業界特有の業務プロセスや規制要件によって、選択されるツールは異なります。以下は主要業界における傾向です。

IT・スタートアップ

主な選択: Google Workspace
  • スピード感のある共同作業
  • クラウドネイティブな設計
  • 外部ツールとの柔軟な連携

金融・保険

主な選択: Microsoft 365
  • 高度なセキュリティ対策
  • コンプライアンス要件への対応
  • 既存システムとの親和性

製造

主な選択: Microsoft 365
  • サプライチェーン管理との連携
  • 現場でのOfficeファイル利用
  • グローバル拠点との標準化

小売

主な選択: 混在

Google

  • 店舗間の情報共有
  • 使いやすいUI

Microsoft

  • 基幹システム連携
  • データ分析

教育機関

主な選択: Google Workspace
  • 無償または安価なプラン提供
  • 生徒と教員間のコラボレーション
  • 高いシェアを誇る教育市場

政府・自治体

主な選択: Microsoft 365
  • 厳格なセキュリティ要件
  • コンプライアンスへの準拠
  • 既存ITインフラとの統合性

上記は一般的な傾向であり、企業ごとの戦略やIT環境によって選択は異なります。業界特有の要件と組織文化を考慮した選定が重要です。

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選択のポイント:企業規模

企業の規模や成長段階によって、最適なグループウェアの選択は異なります。それぞれの特性に合わせた選択のポイントを見てみましょう。

大企業

企業特性

  • Windowsベースの既存ITインフラが構築済み
  • 厳格なガバナンスとコンプライアンス要件
  • 複雑な組織構造と承認フロー

Microsoft 365

推奨
  • Active Directoryとの連携によるアカウント管理の効率化
  • SharePointを活用した大規模情報共有基盤の構築
  • 高度な管理機能とコンプライアンス対応

Google Workspace

大企業特有の複雑な要件に対応するには、追加カスタマイズや連携ツールが必要になる場合があります。

中小企業

企業特性

  • 限られたIT予算と人材
  • 従業員のITリテラシーにばらつき
  • スケーラビリティと拡張性が重要

Microsoft 365

  • 使い慣れたOfficeアプリケーションで導入後の教育コストを抑制
  • Businessプランはコストパフォーマンスに優れる

Google Workspace

  • シンプルな管理画面で専任IT管理者がいなくても運用可能
  • 直感的な操作性でチームのコラボレーションを促進

スタートアップ

企業特性

  • スピード重視の業務環境
  • 高いITリテラシーを持つ少人数チーム
  • 初期コスト抑制と柔軟なスケーリングが必要

Microsoft 365

「Microsoft for Startups」支援プログラムも提供されています。

Google Workspace

推奨
  • 初期コストを抑えつつ、スピーディに業務環境を構築可能
  • ブラウザベースで完結する手軽さと高いスケーラビリティ
  • 変化の速いビジネス環境に柔軟に対応できる

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選択のポイント:システム統合とセキュリティ

既存システムとの統合

Microsoft 365

  • Windows Server、Active Directory、Exchange Serverとのシームレスな連携

  • 既存のID管理やファイルサーバーを活かしたハイブリッド構成が容易

  • 多くの業務アプリケーション(ERP、CRMなど)がMicrosoft製品との連携を前提に開発

Google Workspace

  • クラウドネイティブなSaaSで、APIを通じた他のクラウドサービスとの連携が容易

  • オンプレミスのActive Directoryとの連携にはGoogle Cloud Directory Syncなどのツールが必要

  • 既存ファイルサーバーからのデータ移行には事前の計画が重要

セキュリティとコンプライアンス

Microsoft 365

  • 詳細かつ強力なセキュリティ機能:Microsoft Defender for Office 365(標的型攻撃対策)

  • Azure Information Protectionによる情報漏洩防止

  • DLP、eDiscovery、監査ログなど充実したコンプライアンス管理機能

  • ISO 27001、GDPRなどグローバルな規制・認証に幅広く対応

Google Workspace

  • Googleの堅牢なインフラを基盤とした高いセキュリティレベル

  • 迷惑メール・フィッシング詐欺に対する強力なフィルタリング機能

  • Enterpriseプランでは、セキュリティセンターでの脅威分析、アクセス透過性ログ、DLP機能を提供

  • 主要な国際コンプライアンス基準を満たす設計

選択のポイント

Microsoft 365はより詳細なポリシー設定や管理が可能で、既存のセキュリティガバナンスに組み込みやすい特徴があります。一方、Google Workspaceはシンプルさを保ちながら強力な保護を提供します。自社のセキュリティポリシーや準拠すべき法規制に応じて選択することが重要です。

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まとめと推奨

どちらのサービスも優れたグループウェアですが、企業の文化、業務プロセス、従業員のITスキル、将来のビジョンに合致したツールを選択することが重要です。

Microsoft 365がおすすめの企業

特徴

  • Word、Excel、PowerPointといった高機能なデスクトップアプリケーションを業務の中心に据えている
  • 既存のWindows ServerやActive Directoryなど、オンプレミス環境との連携を重視する
  • 厳格なセキュリティポリシーやコンプライアンス要件への対応が不可欠

企業像

  • 大企業・中堅企業: 確立された業務フローを持ち、組織全体の標準化を重視

  • 非IT企業(製造、金融、建設など): 文書作成やデータ分析など、オフラインでの詳細な作業が多い

  • 官公庁・教育機関: 長年の利用実績と信頼性、セキュリティを最優先

Google Workspaceがおすすめの企業

特徴

  • クラウドを前提とした業務スタイルで、場所を選ばない柔軟な働き方を推進
  • リアルタイムでの共同編集やスピーディな情報共有を最優先
  • シンプルで直感的なインターフェースを好み、ITツールに詳しい従業員が多い

企業像

  • IT企業・スタートアップ: スピード感とコラボレーションを重視し、変化に迅速に対応

  • 中小企業: 初期投資を抑えつつ、最新のクラウド機能を活用したい

  • リモートワーク中心の組織: 地理的に分散した従業員のオンライン連携が業務の中心

最終的な選択は、価格や機能の単純比較だけでなく、「自社がどのような働き方を目指すのか」というビジョンを明確にすることが重要です。無料トライアル期間を活用し、実際に一部のチームで試用してみることで、自社に最適な答えが見つかるでしょう。

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